ペットの皮下点滴ケアを自宅で行う|準備物と安全な手順
- ペットシッターniconico
- 8月25日
- 読了時間: 13分
▶︎1. ペットの点滴ケアを自宅で行うメリットと基本知識
1.1 なぜ自宅で点滴ケアが必要なの?
動物病院で点滴を受けているペットの中には、治療が長期にわたる場合や、高齢で通院のストレスが大きい子もいます。そんなとき、自宅での点滴ケアが選択肢に入ってきます。
特に皮下点滴は、飼い主自身または訪問看護師のサポートで行うことが可能です。
自宅での点滴は、ペットにとっても精神的な負担が少なく、「いつもの環境」で落ち着いて治療を受けられる点が大きなメリットです。
こんな場面を想像してください。
混雑する待合室で長時間待つ必要もなく、車移動のストレスや、他の動物との接触による緊張感もありません。自宅であれば、リラックスしたまま点滴を受けられ、回復の妨げになりにくいんです。
1.2 自宅で点滴ケアを行うメリットと注意点
自宅での点滴ケアには、以下のようなメリットがあります。
主なメリット
通院負担の軽減(車移動・待ち時間・通院頻度の削減)
ペットがリラックスして治療を受けられる
飼い主が体調や状態を日々細かく観察できる
治療費を抑えられるケースもある(通院費や移動費が不要)
一方で注意すべき点もあります。
以下のようなリスクがあるため、しっかり準備と知識を持って行うことが必要です。
よくある注意点・失敗例
点滴の針を正しい角度で刺せずに失敗する
→最初は愛玩動物看護師の指導を受けてから実施しましょう。
液漏れが発生して皮下にしこりのような膨らみができる
→刺す位置や深さを再確認し、無理な力をかけないことが大事です。
ペットが暴れて怪我をする可能性がある
→抱っこやタオル保定など、ペットを安定させる環境づくりが欠かせません。
しっかり準備とサポート体制を整えることで、これらのリスクは大きく減らせます。
1.3 動物病院との違いと看護師によるサポートの重要性
病院での点滴治療と、自宅での点滴ケアでは、環境も手技のレベルも異なります。
病院ではスタッフが複数いて保定や処置をスムーズに行えますが、自宅では飼い主がほとんどの準備を担う必要があります。
しかし最近では、国家資格を持つ愛玩動物看護師が訪問してサポートしてくれるサービスも増えており、特に以下のような場合に活用されています。
針を刺すことに不安がある
皮膚の状態や点滴量の判断が難しい
高齢や持病のあるペットに慎重なケアが必要
たとえば訪問看護では、点滴の量や速度の確認、保定、皮膚の観察、使用器具の準備までサポートしてもらえるため、飼い主の精神的負担もグッと減ります。
初めて点滴を自宅で行う場合は、愛玩動物看護師の助けを借りながら、無理のないスタートを切るのが安心です。
▶︎2. 自宅でペットに点滴するための準備物一覧
自宅での点滴ケアは、病院と違いすべての準備を飼い主が行います。
そのため、必要な器具をあらかじめ揃えておくことがとても大切です。
ここでは「最低限必要な道具」と「あると便利な補助器具」、そして「選び方のポイント」まで具体的にご紹介します。
2.1 最低限必要な点滴セットとその役割
まずは、点滴を実施するうえで「これがないと始まらない」という基本セットから確認しましょう。
基本的な点滴準備物は以下の5つです。
輸液パック(例:生理食塩水・乳酸リンゲル液)
→体内に水分や電解質を補う主役。容量はペットの体格により選びます。
輸液ライン(点滴チューブ)
→輸液パックと針をつなぐチューブ。流量調整ダイヤル付きのものが便利です。
点滴針(注射針または翼状針)
→皮下に液を注入するための針。ペットの皮膚の厚さや痛みの感じやすさに応じて選びます。
S字フック・点滴スタンド
→輸液パックを高所に吊るす道具。フックはカーテンレールや棚に掛けて使えます。
アルコール綿・手袋
→皮膚の消毒と衛生管理のために必須です。
これらが揃っていれば、基本的な皮下点滴を安全に行う土台ができます。
2.2 あると便利な補助道具と設置環境の準備物
次に、あると作業がグッと楽になる補助アイテムをご紹介します。
慣れないうちはとくに重要な存在になります。
あると便利な準備物はこちら。
体温で温められる湯たんぽやタオル
→輸液を事前に人肌程度に温めると、注入時の違和感を和らげられます。
ペットを固定するためのバスタオルやブランケット
→小動物や猫の場合、くるんで安定させることで動きを抑えられます。
ペット用マットや滑りにくい敷物
→針を刺すときにペットの体勢が安定し、失敗が減ります。
タイマーやアラーム機能付きの時計
→点滴時間の管理に役立ちます。10分〜15分の目安を守るのに便利です。
照明スタンド
→刺入位置や点滴ラインの状態をしっかり見えるようにするため、明るさの確保が大事です。
日常の中に点滴ケアを取り入れるには、こうした補助道具で“無理なく続けられる環境”を整えることがカギになります。
2.3 輸液パックや針の選び方とサイズの目安
準備物の中でも、特に「輸液パック」と「針」は、ペットの体格や状態に合ったものを選ぶ必要があります。
選び方のポイントは以下の通り。
輸液パックの容量(例)
・小型犬・猫:100〜250ml程度
・中型犬:250〜500ml
・大型犬:500〜1000ml
→病院で指示された量に応じて準備してください。
針の太さ(ゲージサイズ)
・21G(ゲージ)〜18Gが一般的。数字が小さいほど太くなります。
・細い針(22G)は痛みが少ないが時間がかかり、太い針(18G)は注入が速いがやや刺激が強め。
翼状針 or 通常針の使い分け
・翼状針は扱いやすく、ペットの動きにも対応しやすいため初心者向き。
・通常の注射針は価格が安いが、保定にコツが必要です。
「ペットの体格」「性格」「治療回数」などを考慮して最適な組み合わせを選ぶことで、失敗のリスクがぐっと減ります。
▶︎3. ペットの点滴ケアを自宅で行う際の正しい手順と安全管理
点滴ケアを安全に行うためには、「手順通りに行うこと」が最も重要です。
準備から針の刺し方、点滴後の観察まで、ひとつひとつ丁寧に対応することでトラブルを防げます。
ここでは3つの流れに分けて、ポイントを詳しく解説します。
3.1 点滴前の準備と消毒の流れ
点滴前に行うべき準備は、単に道具を揃えることではありません。
正しい手順で行うことが、安全な点滴につながります。
点滴前の主な手順
手洗い・手袋の着用
→感染リスクを避けるため、必ず清潔な状態で準備に入ります。
輸液パックの準備
→輸液パックを人肌程度(約37℃)に温めます。冷たいままだと、ペットが不快感を覚えることがあります。
輸液ラインと針の接続
→空気が入らないようにラインを満たし、流量調整も確認しておきましょう。
皮膚の消毒
→刺入部位(肩甲骨の間など)をアルコール綿で丁寧に拭きます。毛が多い場合はカットしておくとスムーズです。
よくある失敗
ライン内に空気が残っていた
輸液が冷たいままでペットが嫌がった
消毒を忘れて感染リスクが上がった
これらは準備段階での確認不足によるものなので、手順を見えるところに貼っておくと安心です。
3.2 針の刺し方と適切な角度・位置
次に、もっとも緊張する作業「針の刺入」について解説します。
基本の刺入手順:
ペットを保定する
→タオルで包む、抱っこして落ち着かせるなど、動かない状態を作ります。
皮膚をつまみ、テント状にする
→肩甲骨の間あたりの皮膚をやさしく持ち上げて、山をつくります。
針をつまんだ皮膚の根元に対して浅い角度(20~30度)で刺す
→真下ではなく、皮膚の内側に沿って斜めに入れることで失敗が減ります。
針を固定し、輸液をスタート
よくあるミスとその対策:
針が深すぎて液が漏れる
→浅く刺す練習をしましょう。
斜めでなく真上から刺してしまう
→角度を意識しながら鏡や動画で復習すると効果的です。
ペットが動いて針が抜ける
→安定した台やマットの上で行うのがおすすめです。
初回や不安がある場合は、愛玩動物看護師の訪問指導を受けてから行うのが安心です。
3.3 点滴中・後のチェックポイントとトラブル対処法
点滴中・点滴後の観察もとても大事です。トラブルの早期発見や、体調変化への対応にもつながります。
点滴中のチェックポイント
液の流れがスムーズか?(途中で詰まっていないか)
ペットが苦しそうにしていないか?
刺入部に膨らみや液漏れはないか?
点滴後の注意点
針を外したあと、しっかり圧迫止血をする(5〜10秒)
刺入部が赤く腫れていないか確認
体調の急変やぐったりした様子がないか、30分〜1時間は見守る
よくあるトラブルと対処法
皮下に膨らみができた(液が溜まった)
→正しい位置に入っていても自然に吸収されることが多いですが、翌日も残っている場合は相談を。
液が漏れて床が濡れた
→針の固定が甘かった可能性があるため、次回はしっかり保定しましょう。
出血が止まらない
→圧迫不足が原因です。綿を押さえてしばらく安静にして様子を見ましょう。
「慣れてきたころが一番ミスしやすい」と言われます。毎回手順を再確認することが、安全なケアを続けるコツです。
▶︎4. ペットの自宅での点滴でよくある失敗と対処法
自宅での点滴は、慣れていないとどうしてもミスが起きがちです。ここでは特によくある3つの失敗例と、その対処法・予防策を具体的に紹介します。
「初めてやったときに失敗してしまった…」という経験は少なくありません。
事前に失敗例と解決策を知っておくことで、落ち着いて対応できます。
4.1 点滴の液漏れ・膨らみ(皮下浮腫)
一番よくあるトラブルが、点滴中に液が漏れたり、皮下に不自然な膨らみができてしまうケースです。
これは針の位置や刺入角度が原因になっていることが多く、以下のような状況で起こりやすくなります。
失敗の原因
針を深く刺しすぎた
浅すぎて皮膚の下に十分に入っていない
刺した直後にペットが動いて針がズレた
針を固定せずに点滴を開始した
対処法と予防策
針を刺すときは浅い角度(20〜30度)を意識する
刺した後は一度軽く引いて液がスムーズに入るか確認する
テープや手で針を軽く支えて動かないようにする
皮下にできた膨らみ(浮腫)は、数時間~1日ほどで自然に吸収される場合がほとんどです。ただし、腫れが赤くなったり熱を持っている場合は感染の可能性があるため、動物病院に相談しましょう。
4.2 ペットが暴れてうまくできない場合
自宅点滴でもうひとつ多い悩みが「ペットが嫌がって動いてしまう」というものです。
猫や小型犬では特に起こりやすく、刺入時や点滴中の動きによって失敗につながることもあります。
よくあるシーン
点滴準備中にすでに警戒して逃げ回る
針を刺した瞬間に大きく動いてしまう
点滴中に首や体を激しく動かして針が外れる
解決のポイントは「保定」と「安心できる環境づくり」です。
対処法と予防策
バスタオルで優しくくるみ、視界を少し遮ると落ち着きやすくなる
静かな部屋で、テレビや音など刺激を避けて行う
1人で難しいときは2人で役割分担する(保定と点滴)
暴れてしまったときは、無理に続けず一度中断しましょう。無理に続けると針の刺し直しや、ペットとの信頼関係にも影響します。
4.3 点滴量・速度のミスと注意点
点滴の失敗には「やり方」だけでなく「どれくらいやるか」が関係するミスもあります。
こんな失敗が多いです。
点滴の量をオーバーしてしまった
流量が早すぎて一気に注入してしまった
ゆっくり過ぎて途中で終わらなかった
とくに注意したいのは、流量ダイヤルの設定ミスや、時間を計らずに「なんとなく」で続けてしまうことです。
対処法と予防策
医師に指示された量(例:1回100ml)を守る
ダイヤルで適切なスピードに調整し、10〜15分で終わる流れを目安にする
タイマーを使って時間を測る癖をつける
体格の小さいペットに大量の輸液を急に入れてしまうと、心臓や腎臓に負担がかかることもあります。安全のためにも、「早く終わらせたい」気持ちを抑えて、丁寧に行うことが大切です。
▶︎5. ペットの点滴ケアを自宅で頼める訪問サービスの活用法
5.1 自宅での点滴が不安な方におすすめの選択肢
自宅での点滴ケアに挑戦したものの、「本当にこれで合っているのか不安…」という声はとても多いです。特に初めての場合は、針の扱いや注入量の調整など、気をつける点が多くて戸惑うものです。
そんなときに頼りになるのが、愛玩動物看護師による訪問看護サービスです。
自宅での点滴に不安を感じたら、無理せず専門家の手を借りましょう。国家資格を持つプロが対応してくれるサービスなら、安心感も段違いです。
5.2 プロに任せることで得られる安心感
訪問サービスを利用すると、単に点滴を代行してもらえるだけでなく、飼い主自身が正しい知識や手順を学ぶ機会にもなります。
主なメリットはこちらです。
ペットの健康状態や体質に合わせた柔軟な対応ができる
針刺しや輸液管理などの専門的な処置が安全に行える
急な体調不良や行動変化にも迅速に対応してもらえる
たとえば、自分で点滴を行っていても「今日は元気がない」「皮膚の状態が違う」といった小さな変化に気づけないこともあります。訪問看護師なら、そうした変化も見逃さずに適切な判断をしてくれます。
ペットの体調や性格に応じた丁寧なケアを受けられる点で、非常に心強い存在といえるでしょう。
5.3 「ペットシッターniconico」が提供する訪問看護とは
栃木県全域に対応している「ペットシッターniconico」では、国家資格「愛玩動物看護師」を持つ女性スタッフが在籍し、自宅での点滴や看護・介護を専門的にサポートしています。
主なサービス内容は以下の通りです。
点滴・注射の補助(皮下点滴、皮下注射など)
投薬(獣医師の指示書がある場合の経口投与・点眼)
退院後や療養中のペットの健康管理
寝たきりの高齢ペットへの体位変換、褥瘡予防、おむつ交換
流動食による食事の補助や、病後の見守り対応
料金は内容によって異なりますが、投薬は500円、注射は800円、動物病院代行は60分4,500円〜となっています(いずれも税込)。個別の看護・介護対応については症状により異なるため、まずは相談が推奨されています。
「みんな笑顔で『ただいま、おかえり』を楽しみに」をモットーに、飼い主とペットが安心して過ごせる毎日をサポートすることを大切にしているniconico。
自宅でのケアに不安を感じたとき、頼れる存在として心強いパートナーになります。
▶︎6. まとめ:ペットの点滴ケアを自宅で無理なく続けるために
6.1 事前準備とサポート体制で安心の点滴ケアを
自宅での点滴ケアは、しっかり準備をすれば飼い主でも十分に対応できるケア方法です。
ただし、必要な道具を揃えるだけでなく、「どこに・どうやって・どのくらい注入するか」までを具体的に把握しておくことが大事です。
特に以下の点を押さえておくと安心です。
輸液パック・針・チューブなどの準備物を正しく管理する
温度管理や消毒を徹底し、感染を防ぐ
ペットの体調や反応に敏感に気づけるよう観察力を養う
そして、「困ったときは頼れる存在がいる」という安心感が、自宅ケアの継続には欠かせません。
たとえば訪問看護を活用すれば、専門家の指導を受けながらケアの技術を身につけたり、必要なときに代行をお願いしたりすることができます。
6.2 自分ひとりで抱え込まないことが大事
どんなに愛情を持っていても、すべてをひとりで背負うのは心身ともに負担が大きいものです。とくに点滴のような医療行為に近いケアは、「ちゃんとできているのか不安…」というプレッシャーがつきまといます。
そんなときこそ、プロの手を借りることが重要です。
愛玩動物看護師による訪問ケアサービスを使う
動物病院と連携して適切な指示を受ける
家族や周囲の協力を得てサポート体制を整える
「全部自分でやらなきゃ」と思い込まず、必要なときに助けを求めることが、ペットにも飼い主にも優しい選択です。
自宅での点滴ケアは、決して特別な人だけができるものではありません。正しい知識と環境、そして安心できるサポート体制があれば、誰でも無理なく続けていけます。
▶︎自宅でペットの点滴ケアをするならniconicoにお任せください
国家資格「愛玩動物看護師」がご自宅に訪問し、皮下点滴や投薬、介護のサポートを行います。
高齢のペットや退院後のケアにも対応し、飼い主様が安心できる日々をサポートします。
詳しくはホームページをご覧ください。


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